動野が学校を休んだ 。いや、朝居たのは確認しているのだから、正確には欠席とは言わないのかもしれない。そのまま授業にも出てこなかったけれど、またいつものように屋上でごろごろしているのかと安易に考え、昼休みになってからやっとで行ってみたけれど動野の姿はそこに無かった。それもまた良くあることだったので、溜息ひとつ零しただけで諦めた静本はまた放課後になってから校内を探し回った。
家に戻っている筈は無い。
なのに学校のどこにも居ないのを確認した静本は、そこで急に不安になってきた。
いつもの球場かもしれない。
そう思った静本は、鞄も持たずにふらりと校門を出た。
歩く速度はいつも一定。
無意味な習慣が心地良い。
踏む足のリズムが単調で、脳を退化させるよう。
無駄な楽器がもどかしいようで心地良い。
ただそこに、 一番欲しいものが足りない 。
動野
傍にいたいというささやかな気持ちすら重荷なのだろうか。
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